電子会議室の楽しみ

2000年4月11日新潟日報夕刊に掲載したコラム【晴雨計】11回目



 インターネットに手を染めて早二年になる。 パソコンは今や、若者だけのものとはいえない。私は日記もワープロソフトで書いている。パソコン通信のメールチェックは生活の一部となっている。もう離せない、この魔法の機械―パソコン。私はパソコン通信の電子会議室でも随分発言してきた。読者の方の中にもそこで出会っている可能性がある。これまで対話を重ねてきた相手は、どちらかと言えば県外の人の方が多い。
 電子会議室での発言はハンドルネームと言う愛称で行う。匿名性がある。発言しないときは、興味のある会議室を覗くだけになる。リード・オンリー・メンバー(略してROM―ロム)になる。最初はこれである。幾度か他人の発言を見ているうちに自分も発言したくなる。そこに至るまでがたいへんな人がいる。思い切って飛び込んでみると思いのほかお相手をしてくれる。発言に対してコメントすることをこの世界では、レスすると言う。レスポンスのレスだ。レスがつくと嬉しくなり、またそれに対し返事を返す。レスは一人とは限らない。ニューカマー歓迎の傾向がある。そして一本の発言に対し幾度かのレスが加わるとチェーンないしツリー構造になってくる。発言の相関図といえる。先に匿名性と書いた。これがあるから、割と気楽に発言できる。もちろんネチケット(ネット+エチケットの合成語)に違反しないことが前提である。これに違反するとたちまち村八分状態になるという。匿名性とは、平等ということでもある。この社会、年齢、社会的地位、性差等一切影響する事は無い。
   発言内容がすべてである。それ故面白いともいえる。日常の《ケ》に対し 《ハレ》の場と言っても良いだろう。顔も知らない人々が、発言のみによって評価される。
こんなことはこれまでの歴史の中であっただろうか。上意下達「寄らしむべく、知らしむべからず」 の世界が現実の世界である。仮想空間とは言え、喜ぶべきことかと思う今日この頃である。


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